ノーカーボン紙の厚さは、長いあいだ「N40」が標準でした。「N」は「ナンバー」と読みます。N40は「ナンバー40」、N60は「ナンバー60」です。昔からそうだから、現場もそれに慣れているから。そう決めてしまえば話は早いのですが、本当にそれでいいのかと感じる場面が、私たち印刷会社の現場には増えています。
この記事は、メーカーの資料ではなく、印刷会社として日々お客様とやりとりするなかで感じていることを書いた読みものです。数値の比較や公式資料の整理は、別の記事にまとめています。オンデマンド印刷に向くノーカーボン紙(N40・N60の比較)とノーカーボン紙のN40とはもあわせてご覧ください。
「ぴったり合う」ことと「どこまで必要か」は別の話
複写伝票に求められる精度が、決して低いわけではありません。複写がきちんと出ること、罫線や文字がずれないこと。ぴったり合っているに越したことはありません。
ただ、ぴったり合わせることと、どこまでの精度が本当に必要かは、別の問いだと私は感じています。必要以上に細かいところにこだわって、その分の手間や時間がかかっていないか。いちど立ち止まって考える価値があります。
現場の実感:ナンバー40とオンデマンド印刷
印刷の現場では、N40を「ナンバー40」、N60を「ナンバー60」、N80を「ナンバー80」と読みます。

ナンバー40をオンデマンド機で印刷すると、シワが出やすいと感じます。なかなか大変な状況になることがあります。特に空気中の湿度が高いときは、紙が機械に吸いにくくなります。梅雨の6月ごろは、とくにそうです。
そのため、ナンバー40ではなくナンバー50でもいいですか、と事前にお客様にお聞きしたうえで使っていただくことがあります。これは私たちの現場での経験で、メーカーの公式な見解や実測データではありません。
ナンバー40が実際に何ミリ・何グラムの紙なのか、ナンバー50とは何が違うのかを数値で確認したい方は、こちらの記事に整理しました。

ユーザーの視点:薄い紙のほうが書きやすいとは限らない
「薄い紙のほうが使いやすい」「以前からそうだから、そうすべきだ」というのは、必ずしも正解ではないと思います。ペンも昔とは変わりました。今は、ある程度の厚みがあるほうが書きやすい、と感じる方もいます。

実際、昔のように3枚、4枚、5枚と多く複写する伝票でなければ、ナンバー40ではなくナンバー50を使っていただくと、こちらのほうが書きやすい、と言ってくださるお客様も意外と多くいらっしゃいます。
大事なのは、使う方の気持ちに応えることです。そして、それは時代に合わせて変わっていきます。
機械に合わせるときの線引き
オンデマンド機で刷ることに合わせて、機械に手を入れたり、工夫したりすること自体は構わないと思います。ただ、そこに時間をかけすぎるのは、正直ナンセンスだと感じます。
無理に機械を合わせるより、その機械での印刷に適した用紙を選べているかどうか。それも、用紙選びの大切な視点のひとつです。
「では、どの紙ならオンデマンド機やレーザープリンターで通りやすいのか」は、公式資料で比べた記事にまとめています。

今も、紙の伝票が必要とされている理由
領収書は、振込やカード払いが増え、レジからそのまま発行されることも多くなり、紙で発行する機会は昔より減りました。飲食店や小売店では、紙の領収書を使うことが減っています。それでも、領収書そのものがなくなると困りますし、やはり必要です。そのため、昔ほどの数ではないけれど、少ない数だけ作りたいというお客様がいらっしゃいます。

お客様から、次のようなご相談もあります。
- 既存の伝票に、社名だけ刷り込んでほしい。
- 金額よりも、小ロットで作りたい。
- 手書きの伝票のほうが、綴じて使いやすく、あとから保管しやすい。
- 少人数で会社を経営していて、システムに高いお金をかけるより、紙の伝票でその場で対応するほうが楽。
すべてがデジタルで楽になる、デジタルが常に正しい、というわけではないと思います。
紙の伝票が今も必要とされる場面を踏まえたうえで、そもそもノーカーボン紙がどんな紙か(仕組み・種類・保管)を確認したい方は、基礎の記事をどうぞ。

経営の視点:N40が選ばれてきた理由を考える
ここは、確認した事実ではなく、私の実感です。ナンバー40の紙は、ナンバー50に比べて、仕入れの値段が安いと感じます。昔は、値段のことも含めて、お客様にナンバー40をおすすめする進め方をしていたのではないか、と思います。
安く仕入れられて、お客様にも安く提供できる。経営の側から見れば、それは自然な判断です。ただ、複写枚数が減り、機械も、ペンも、使う方の事情も変わった今は、その判断をもう一度見直してもいいのではないかと思います。

三つの視点のバランスと、時代に合わせること
ユーザーの視点、現場の視点、経営の視点。この三つのどれかだけを見て決めると、どこかに無理が出ます。
- ユーザーの視点:書きやすいか、使いやすいか、必要な数だけ作れるか。
- 現場の視点:機械で安定して印刷できるか。シワや給紙の不具合で時間をとられないか。
- 経営の視点:仕入れの値段、手間、納期を含めて、続けられるか。
そのバランスをとるときに、「昔からそうだから」を理由にしないこと。時代に合わせて考え直すこと。これが、私がこの記事でいちばん伝えたいことです。

私個人としては、必ずしもナンバー40の厚みにこだわる必要はないと思っています。複写枚数、使う機械、お客様の書きやすさを聞いたうえで、ナンバー50などの選択肢を一緒に考える。そのほうが、結果としてお客様にも現場にもよいことが多いと感じています。
よくある質問
- N40は、現場ではどう読みますか?
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「ナンバー40」と読みます。N60は「ナンバー60」、N80は「ナンバー80」です。数字は厚さの区分で、グラム数ではありません。詳しくはN40とはの記事で説明しています。
- N40をN50に変えてもいいですか?
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複写枚数や機械、お客様の用途によって変わります。私たちの現場では、事前にご相談したうえで、ナンバー50を使っていただくことがあります。昔のように3〜5枚の複写でなければ、書きやすくなったと言っていただけることもあります。
- 今でも、手書きの複写伝票は必要ですか?
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お客様によっては、今も必要です。領収書の発行が減っても、なくなると困るため、少ない数だけ作りたいというご依頼があります。少人数で運営している会社では、紙の伝票で管理するほうが楽、というお話もあります。
まとめ
複写伝票の精度も、紙の厚さも、「昔からそうだから」で決めるのではなく、ユーザー・現場・経営のバランスを見て、時代に合わせて考え直したいと思っています。ナンバー40にこだわらず、ナンバー50なども含めて選べるようにしておくこと。まずはお客様と相談しながら、その選択肢を広げていくことが大切だと感じています。
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