「Canvaで作ったのに、印刷したらおかしい」。届く相談を種類で分けると、実はそれほど多くありません。白い線が出る、文字が切れる、サイズが違うと言われる、写真がぼやける、色がくすむ、文字が変わる、PDFがずれる、そもそも印刷できない。ほぼこの8つです。
この記事は、Canvaのデータを日々受け取って刷っている側から、症状ごとに「原因はどこにあるか」「その場で何を見ればよいか」を引けるように並べたものです。Canvaの操作に原因があるもの、印刷の仕組みに原因があるもの、家庭用プリンターやコンビニの機械に原因があるものが混ざっているので、まず自分の症状を見つけてください。詳しい対処はそれぞれの記事に分けてあります。
症状から引く。原因と、いま見る場所
先に一覧です。左の症状から、真ん中の原因と、右の「いま自分で確認できる場所」へ。
| 症状 | 主な原因 | その場で見る場所 |
|---|---|---|
| 端に白い線が出る・白フチになる | 背景が仕上がり線で止まっていて塗り足しがない | 「ファイル」→「定規とガイド」→「塗り足し領域を表示する」で、背景がページの外まで伸びているか |
| 文字や枠が切れる・端に寄りすぎる | 仕上がり線から3mm以内に文字がある | 「余白を表示」をオンにして、文字が点線の内側にあるか |
| 「サイズが合わない」と言われる | テンプレートが海外寸法/塗り足し分を足して作った/トンボ付きでPDFのページが大きい | 「サイズを変更」で寸法とmm単位を確認。書き出したPDFのプロパティでページサイズを確認 |
| 写真やロゴがぼやける・ギザギザ | 元の画像が小さい(Webの画像・スクリーンショット) | Canvaで画像を選び、実寸より大きく拡大していないか。PDFを開いて400%に拡大 |
| 色がくすむ・画面と違う | RGBとCMYKの違い。蛍光色・鮮やかな青緑・明るいピンク | 使っている色が蛍光や高彩度に寄っていないか |
| 文字が別の形になる・化ける | 絵文字・特殊記号・一部の装飾フォント | 書き出したPDFを開いて、文字を拡大して追う |
| PDFで位置がずれる・要素が消える | PDF(標準)で書き出した/透明効果の重なり/ページ外にはみ出した要素 | 「PDF(印刷)」で書き出し直し、別のPDF閲覧ソフトでも開いてみる |
| 入稿でエラーになる・受け付けられない | 形式・容量・ページ数・サイズ判定 | 注文先の入稿ガイドで、形式(PDF)、上限容量、ページ数の指定を確認 |
| 印刷ボタンがない・プリンターに出せない | 「印刷」はCanvaの印刷注文とコンビニ登録用。手元のプリンターには出せない。名刺などのサイズではボタン自体が出ない | 「共有」→「ダウンロード」でPDFを保存してから印刷する |
| 家庭用プリンターで余白ができる | プリンターの「用紙に合わせる」設定、ふちなし非対応 | 印刷ダイアログで「実際のサイズ」、機種がふちなし対応か |
| コンビニで印刷できない・切れる | ネットプリントが受け付ける形式・容量、用紙サイズの選択違い | 登録画面の対応形式と容量、選んだ用紙サイズ |
印刷会社に届く順に多い、Canvaデータのトラブル
一覧を頻度の順に並べ直すと、次のようになります。上の3つで、こちらから連絡する理由の大半を占めます。
1.白フチ。塗り足しがない
断トツで多いのがこれです。Canvaは初期状態で塗り足しの表示がオフなので、ページの端ぴったりで背景を止めたデータになりがちです。書き出しで「トリムマークと塗り足し」にチェックを入れても、外側に付く帯は白いままです。チェックは領域を用意するだけで、背景を伸ばしてはくれません。
紙は仕上がりより大きい紙に刷って、何百枚も重ねて一度に裁ちます。刃の位置はわずかに揺れるので、背景が仕上がり線ぴったりだと、揺れた分が端の白い線になります。対処は「ファイル」→「定規とガイド」→「塗り足し領域を表示する」をオンにして、背景の写真や色をページの端の外まで引き伸ばすこと。詳しくは塗り足しの記事に書きました。
2.文字切れ。仕上がり線に近すぎる
白フチと同じ断裁の揺れが、今度は内側に出るケースです。文字や枠線が仕上がり線から1〜2mmのところにあると、揺れた分だけ切れたり、片側だけ余白が狭く見えたりします。名刺のように小さいものほど目立ちます。
「余白を表示」をオンにすると内側に点線が出ます。文字、ロゴ、QRコードはその内側に置いてください。枠線で囲むデザインは特に注意が要ります。枠と仕上がり線の距離が均等に見えるかどうかは、断裁の精度に完全に依存するからです。こちらでは、枠線のあるデータが届くと「揺れると目立ちますが、このまま進めますか」と一度聞くことにしています。
3.サイズが合わない。3つのパターン
注文したサイズとデータのサイズが違う、という連絡には3つのパターンがあります。
- テンプレートが海外寸法…Canvaの名刺テンプレートには85×55mmや3.5×2インチ(88.9×50.8mm)のものが混ざっていて、日本の91×55mmとは違います。「A4」と書かれていてもレターサイズ(215.9×279.4mm)のことがあります。カスタムサイズでmm指定して作るのがいちばん確実です
- 塗り足し分を足して作った…A4を216×303mmで作ると、こちらではそれが「大きめの注文」なのか「塗り足し込みのA4」なのか判断できません。Canvaは仕上がりサイズで作って、書き出し時に塗り足しを付ける仕組みです
- トンボ付きでPDFのページが大きい…「トリムマークと塗り足し」をオンにすると、A4のPDFはページサイズが約222×309mmになります。人がデータを開いて面付けする会社では、PDFの中にある仕上がり枠を読むので問題ありません。一方、機械が自動でサイズを判定する会社では、これを「サイズ違い」として弾くことがあります。その会社の指示が「トンボなし」なら、チェックを外して書き出してください
「トンボは必要ですか」という質問に、会社によって答えが違うのはこのためです。どちらが正しいということではなく、データを人が見るか機械が見るかの違いです。入稿ガイドに書いてあるほうに合わせてください。
4.写真がぼやける。元の画像が小さい
スマホで撮った写真は、たいてい足ります。足りないのは、Webから保存した小さな画像、スクリーンショット、SNSのアイコン、そしてロゴをスクリーンショットで貼ったものです。ロゴのスクショは本当によく届きます。
PDF(印刷)は300dpiで書き出す設定ですが、元の画像に無い情報を増やすことはできません。印刷に必要な画素数は、次の式で出せます。
必要な画素数(px)= 印刷したい幅(mm)÷ 25.4 × 300
| 印刷サイズ | 寸法 | 300dpiに必要な画素数(目安) |
|---|---|---|
| 名刺 | 91×55mm | 約1,075×650px |
| ハガキ | 100×148mm | 約1,181×1,748px |
| A5 | 148×210mm | 約1,748×2,480px |
| A4 | 210×297mm | 約2,480×3,508px |
| A3 | 297×420mm | 約3,508×4,961px |
| A2(ポスター) | 420×594mm | 約4,961×7,016px(離れて見るものは150dpi=半分でも実用) |
これは画像を紙面いっぱいに使う場合の数字です。名刺の隅に小さく置くロゴなら、その置く大きさで計算します。逆にA4のチラシで背景に写真を敷くなら、長辺で3,500px前後が欲しい。スマホの標準カメラなら4,000px以上あるので、撮ったままなら足ります。足りないのは、LINEやSNSを経由して縮小された写真です。
Canva上で確かめるには、画像を選んで実寸より大きく引き伸ばしていないかを見ます。もっと確実なのは、書き出したPDFを開いて400%程度に拡大すること。輪郭がにじんだり階段状に見えたら、紙ではそれ以上に目立ちます。
5.色がくすむ。RGBとCMYK
これは全データで起きます。画面は光のRGB、印刷はインキのCMYKで、つくりが違うので完全に同じにはなりません。ただ、連絡になるのは蛍光色、鮮やかな青や緑、明るいピンクを主役にしたときだけです。落ち着いた色は、ほとんど気づかない範囲に収まります。どの色がどのくらい変わるかは、印刷の色シミュレーターで目安を確かめられます。
もうひとつ、黒い細い文字があります。Canvaの黒はRGBの黒で、そのまま変換すると4色のインキを重ねた黒になり、細い文字では版のわずかなズレがにじみとして見えます。こちらでは黒文字をK100(黒インキのみ)に置き換えて刷ることが多いですが、この処理をするかどうかは会社によります。色の話は「RGBとCMYKの違い|変換しても色が合わない理由と近づける方法」にまとめています。

6.文字が変わる、化ける
PDF(印刷)で書き出すとフォントは埋め込まれるので、通常の日本語や英字が化けることはまずありません。起きるのは、絵文字、環境依存の記号、機種依存文字です。これらは書き出す時点で別の形に置き換わったり、四角になったりします。
「PDFのフラット化」をオンにすれば文字は画像になるので化けなくなりますが、Canvaのフラット化はページ全体を1枚の画像にする処理です。細い文字のふちが甘くなるので、文字化けの回避策としては最後の手段にしてください。まず絵文字や記号を、通常の文字か図形に置き換えるほうが確実です。
7.両面の天地、ページの順番
裏面が逆さまで届くことは珍しくありません。Canvaの画面では2ページが縦に並ぶだけで、実際に紙をめくったときの向きは見えないからです。表と裏で天地をそろえるか、あえて逆にするか(縦長の名刺で横向きに使う場合など)を決めてから作ってください。こちらは「裏面の天地が表と逆になっていますが、このままでよいですか」と必ず一度聞きます。
8.PDFでずれる、要素が消える
頻度は低いですが、原因を切り分けにくいのがこれです。多いのは3つ。「PDF(標準)」で書き出していて画像が粗い、透明効果を重ねた部分が閲覧ソフトによって違って見える、ページの外にはみ出した要素がPDFに残っている。まず「PDF(印刷)」で書き出し直し、別のPDF閲覧ソフト(ブラウザとAcrobat Readerなど)で開き比べてください。同じに見えれば、データはそのとおりに刷れます。
「印刷ボタンがない」。Canvaの操作でつまずく3つ
データの不備ではなく、Canvaの操作で止まっている相談も一定数あります。
「印刷」ボタンは、手元のプリンターには出せない
Canvaの「印刷」は、手元のプリンターへそのまま出力するボタンではありません。チラシやポスター、はがきなどのデザインでは右上に「印刷」ボタンが出ますが、中身は「Canvaで印刷注文」(Canvaの印刷サービス)と「コンビニで印刷」(各社のネットプリントへの登録)の2つです。名刺のような小さいサイズでは「印刷」ボタン自体が出ず、「共有」の中に「Canvaで印刷」があるだけです。
自宅のプリンターで刷るには、「共有」→「ダウンロード」でPDF(配置を確かめるだけなら標準、本番なら印刷)を保存し、そのPDFをパソコンやスマホから印刷します。


家庭用プリンターで余白ができる
PDFを印刷するとき、印刷ダイアログの倍率が「用紙に合わせる」になっていると全体が縮んで余白が出ます。「実際のサイズ」または100%を選んでください。四辺の白い余白そのものは、ふちなし印刷に対応した機種でないと消えません。ふちなし印刷はデータをわずかに拡大して紙からはみ出させる仕組みなので、端の文字は少し切れます。商業印刷が塗り足しと断裁で端まで色を出すのと、原理が違うだけです。
コンビニで印刷できない、切れる
コンビニで刷る道は2つあります。ひとつはCanvaの「印刷」→「コンビニで印刷」で、A4・A3・B4・B5のチラシやポスター、はがきなどのデザインなら、セブン‐イレブン・ファミリーマート・ローソン・ミニストップ・ポプラのネットプリントに編集画面から直接登録できます(予約番号が出て、支払いは店頭の機械で)。もうひとつは、PDFを書き出して各社のネットプリントに自分で登録する方法で、名刺のように「印刷」ボタンが出ないサイズはこちらです。
自分で登録する場合、各社のネットプリントには受け付ける形式と容量の上限、ページ数の条件があります。登録で弾かれたら、まずそこを見てください。PDFで登録するのが確実です。端が切れる場合は、コンビニの機械もふちなしではないので、A4の端まで色があるデザインは四辺が白くなるか、縮小されます。コンビニで刷るなら、端に余白を残したデザインにしておくのが現実的です。手順と、コンビニでは無理なことの一覧は「Canvaのデザインをコンビニで印刷する方法」にまとめました。
入稿で「エラー」と言われたら
印刷会社の入稿フォームで受け付けられないときは、データの中身ではなく入り口の条件であることがほとんどです。順に見てください。
- 形式…PDFで受ける会社が多い。JPGやPNGしか受けない、あるいは逆にPDFのみ、という会社もある
- 容量…写真を多く使うと数十MBになる。上限を超えたら、Canva側で画像を差し替えるか、会社に別の送付方法を聞く
- ページ数…両面なら2ページ、冊子ならページ数どおり。表と裏を別ファイルで求める会社もある
- サイズ判定…自動チェックの会社では、トンボ付きのPDFがサイズ違いになる。上の「3.サイズが合わない」を参照
入稿後のデータチェックで連絡が来た場合の対応は、入稿の記事に書いています。
印刷会社に相談するとき、送ってほしいもの
「うまくいかない」と連絡をもらったとき、次の3つがそろっていると、こちらはたいてい一往復で原因を特定できます。
- 書き出したPDFそのもの…Canvaの画面のスクリーンショットではなく、実際に入稿しようとしたファイル
- 症状の写真か画面…試し刷りしたものの写真、あるいはエラー画面。「どこが」おかしいかを丸で囲んでもらえると早い
- 書き出しの設定…PDF(印刷)か標準か、トリムマークと塗り足しのオンオフ、フラット化のオンオフ、無料プランか有料プランか
「Canvaで作りました」と最初に伝えてもらえると、こちらも見る場所を絞れます。Canvaのデータは、いまの印刷会社にとって日常の相談です。遠慮なく聞いてください。
色の確認に使う色見本帳
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よくある質問
- Canvaで印刷できないのはなぜですか?
-
Canvaの「印刷」ボタンは、Canvaの印刷サービスへの注文か、コンビニのネットプリントへの登録に使うもので、手元のプリンターへは出せません。自宅で刷るには「共有」→「ダウンロード」でPDFを保存し、そのファイルをパソコンやスマホから印刷してください。名刺などのサイズでは「印刷」ボタン自体が出ないので、同じくダウンロードから進めます。
- Canvaで印刷するとサイズが合わないのはなぜですか?
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原因は3つあります。テンプレートが海外寸法(名刺85×55mmやレターサイズ)になっている、塗り足し分を足したサイズで作っている、トリムマーク付きで書き出してPDFのページが仕上がりより大きくなっている。カスタムサイズでmm指定して仕上がりサイズのまま作り、トンボの有無は注文先の指示に合わせてください。
- Canvaの画像は何pxあれば印刷できますか?
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印刷したい幅(mm)÷25.4×300が目安です。名刺の全面なら約1,075×650px、A4の全面なら約2,480×3,508px。スマホで撮った写真は足りることが多く、Webから保存した画像やスクリーンショットは足りないことが多いです。PDF(印刷)で書き出しても、元の画像の情報は増えません。
- Canvaで印刷すると余白ができるのはなぜですか?
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家庭用プリンターやコンビニの機械は、ふちなし対応でなければ四辺に余白が残ります。また印刷ダイアログの倍率が「用紙に合わせる」になっていると全体が縮みます。「実際のサイズ」を選んでください。商業印刷で端まで色を出すには、塗り足しを付けて仕上がりサイズに断裁します。
- Canvaで文字がずれる・化けるときはどうすればいいですか?
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まず「PDF(印刷)」で書き出し直し、別のPDF閲覧ソフトでも開いて比べてください。化けるのは絵文字や環境依存の記号がほとんどなので、通常の文字や図形に置き換えます。フラット化はページ全体を画像にするので、細い文字が甘くなります。最後の手段にしてください。
- 印刷会社に相談するとき何を送ればいいですか?
-
書き出したPDFそのもの、症状の写真かエラー画面、書き出しの設定(印刷か標準か、トリムマークとフラット化のオンオフ、プランの種類)の3つです。これがそろっていれば、たいてい一往復で原因が分かります。
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