Canvaの印刷用PDFの書き出し方|標準と印刷の違い、フラット化、PDF/X-1a、書き出したPDFの確認

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Canvaでの印刷用データ作成に使う道具を俯瞰で並べた作業机の様子

「PDFで送ったのに、書き出し直してくださいと言われました」。この連絡をこちらから入れるとき、原因はたいてい2つのどちらかです。「PDF(標準)」で書き出されている。あるいは、書き出しの設定が注文先の指定と合っていない。

この記事は、Canvaのダウンロード画面で何を選べばよいかだけに絞って書いています。PDFの標準と印刷は何が違うのか、トリムマークと塗り足し、フラット化、カラープロファイルはどう決めるのか、PDF/X-1aと言われたらどうするのか、書き出したPDFをどこで確かめるのか。入稿全体の流れは「Canvaデータを印刷会社へ入稿する方法」に、塗り足しの考え方は「Canvaの塗り足し・トンボ・安全エリア」に分けてあります。

目次

結論:印刷会社に渡すなら「印刷」。標準は画面用

印刷会社へ入稿するPDFは「PDF(印刷)」(現行の画面ではPDF→プリセット「プリント」)で書き出します。標準は画面で見るためのもので、画像は96dpi相当に落とされ、トンボや塗り足しも付けられません。印刷は300dpiを保ち、印刷に必要な設定が選べます。

項目PDF(標準)/デジタルPDF(印刷)/プリント
想定される使い方画面表示、メール添付、社内回覧印刷会社への入稿、高品質なプリント
画像の解像度96dpi相当に圧縮300dpiを保つ
トリムマークと塗り足し選べないオン/オフを選べる
カラープロファイルRGBのみRGB、またはCMYK(有料プラン)
ファイルサイズ小さい大きくなりやすい

標準で届いたデータは、こちらで開いて写真を拡大した時点で分かります。輪郭が甘く、文字のふちがにじんで見える。刷れないわけではありませんが、そのまま刷ると写真がぼやけて出るので、書き出し直しをお願いすることになります。

Canvaのダウンロード画面でファイルの種類からPDFを選ぶところ
現行の画面では、ファイルの種類に「PDF」が1つだけ並ぶ。

ダウンロード画面は2種類ある。項目名は同じ

Canvaのダウンロード画面は、いま2つの表示が混在しています。どちらに当たるかはアカウントによって違い、同じ人でも更新で切り替わることがあります。

  • プリセット型(現行)…ファイルの種類で「PDF」を選ぶと、プリセット「デジタル/プリント」が出る。「プリント」を選ぶとカラープロファイルの欄と「高度な設定」が現れ、開くと「トリムマークと塗り足し」「PDFのフラット化」「メモを含む」「読み取り順序をレイヤーの配置に合わせる」がトグルで並ぶ
  • PDF(印刷)型(旧)…ファイルの種類に「PDF(標準)」と「PDF(印刷)」が別に並び、「PDF(印刷)」を選ぶと同じ項目がチェックボックスで出る

見た目は違いますが、選ぶ項目の名前と意味は同じです。この記事では「PDF(印刷)」と書いたところを、プリセット型では「PDF→プリント」と読み替えてください。

Canvaのダウンロード画面でプリセットをプリントにし、高度な設定でトリムマークと塗り足しをオンにした状態
「PDF」→プリセット「プリント」→「高度な設定」。トリムマークと塗り足し、PDFのフラット化がここに並ぶ。

決めるのは3つ。トリムマークと塗り足し、フラット化、カラープロファイル

トリムマークと塗り足し:注文先がトンボを求めるかで決める

オンにすると、仕上がりの外側に3.175mm(0.125インチ)の塗り足しが付き、四隅にトンボ(トリムマーク)が描かれたPDFになります。塗り足しの量は固定で、変えられません。日本の印刷会社は3mmを求めるところが多いのでそのまま使えますが、5mm以上を指定される大判や特殊加工では足りません。

オンかオフかは注文先の指定で決まります。「トンボ付きのPDFで」ならオン。「仕上がりサイズちょうどで、トンボなしで」ならオフです。Canvaではトンボと塗り足しが1つの項目になっているので、「塗り足しは付けたいがトンボは要らない」というPDFは作れません。トンボなし指定の会社では、塗り足し込みの寸法(A4なら216×303mm)でデザインを作る方法を案内していることがあります。

ここで一つ、こちらが入稿データを開くたびに思うことを書いておきます。この項目にチェックを入れても、背景が仕上がり線で止まっていれば、追加された外側の帯は白いままです。チェックは領域を用意するだけで、背景を伸ばしてはくれません。詳しくは塗り足しの記事へ。

PDFのフラット化:指定がなければオフ。正解は会社によって違う

チェック項目のなかで、いちばん判断が分かれるのがこれです。フラット化は、透明効果や重なりをならして、見た目を固定する処理です。オンにすると、環境によってフォントが入れ替わったり、透明の重なりが思わぬ見え方になったりする心配は減ります。

いっぽうで、処理の内容によっては文字が文字データではなくなり、細い線や小さな文字がわずかににじんだように見えることがあります。写真を多く使ったデザインではファイルが数倍になることもあります。

だから、印刷会社によって案内が分かれます。透明効果の処理に強い印刷の仕組みを持つ会社は「オフのまま送ってください」と言い、文字化けの事故を先に防ぎたい会社は「オンで」と言います。同じ会社でも名刺とチラシで案内が違うことがあります。指定がなければオフのまま送り、指定があればそれに従う。これがいちばん事故が少ないです。

カラープロファイル:CMYKは有料。変換したからといって印刷会社の色と一致はしない

RGBかCMYKかを選びます。CMYKは有料プランの機能で、無料プランではRGBのまま書き出されます。

ここで誤解が多いのは、「CanvaでCMYKにしたから、印刷会社の色と同じになる」という点です。CanvaがCMYKへ変換するときに使うプロファイルは、印刷会社が印刷機に合わせて使っているプロファイル(Japan Color 2001 Coatedなど)と同じではありません。RGBのまま送られたデータは、こちらで印刷機に合わせて変換して刷る運用の会社が多く、この場合はむしろRGBのまま送ってもらうほうが色の判断がしやすいこともあります。注文先の指定がCMYKなら有料プランで書き出す、指定がなければRGBのまま送って「RGBのままでよいか」を一言確認する。色そのものの話は「Canvaで印刷すると色が変わる理由」の記事に分けています。

Canvaのカラープロファイルの選択肢。CMYKに王冠マーク
カラープロファイル。CMYKには王冠マーク(有料プラン)が付いている。

PDF/X-1aを指定されたら

入稿ガイドに「PDF/X-1a形式で」と書いてある会社があります。PDF/X-1aは、印刷用データのやりとりのために決められたPDFの規格で、色はCMYKかグレースケールに限る、フォントは埋め込む、透明の情報は残さない、といった条件がそろっています。受け取る側が安心して処理できる形式です。

CanvaのダウンロードにPDF/X-1aという選択項目はありません。Canvaだけで規格に適合したファイルを作ることはできません。できるのは近づけることまでです。有料プランでCMYKにし、フラット化で透明を整理し、塗り足しを付ける。この3つをそろえたPDFなら「X-1aが望ましいが、CMYKのPDFであれば確認して進める」という運用の会社では受け付けてもらえることがあります。

ただしそれは規格に適合しているわけではなく、出力インテントの埋め込みなど正式な要件は満たしていません。規格を厳密に求められた場合は、Adobe Acrobat Proのプリフライトで変換するか、印刷会社側で変換してもらえるかを聞いてください。「Canvaで作成したCMYKのPDFがあります。X-1aへの変換は御社で対応いただけますか。費用が発生する場合は見積をお願いします」。この一文で話が進みます。1回の注文のためにソフトを買う必要は、たいていありません。

書き出したPDFを開いて、ここを確かめる

「PDFにしたから印刷できる」ではなく、PDFは入れ物です。中身が注文先の条件に合っているかは、書き出したファイルを開いて確かめます。Canvaの編集画面ではなく、書き出されたPDFのほうを。Acrobat Readerなど無料のソフトで開き、「ファイル」→「プロパティ」でページサイズが見られます。

ページサイズは仕上がりより大きい。それで正しい

トリムマークと塗り足しをオンにして書き出すと、PDFのページサイズは仕上がりより一回り大きくなります。塗り足し3.175mmに加えて、トンボを描くための余白が片側6.35mm(0.25インチ)付くからです。実際に名刺91×55mmを書き出して測った数字を載せます。

PDFの中の枠名刺 91×55mm の場合A4 210×297mm の場合意味
ページサイズ(MediaBox)103.7×67.7mm約222.7×309.7mm仕上がり+片側6.35mm。トンボを描く分
塗り足し枠(BleedBox)97.4×61.4mm約216.4×303.4mm仕上がり+片側3.175mm
仕上がり枠(TrimBox)91.0×55.0mm210×297mm実際に裁つ寸法。注文サイズと一致していればよい

プロパティに出る「ページサイズ」は一番外側の数字なので、A4なら約222×309mmと表示されます。210×297mmではないので、驚かなくて大丈夫です。逆に、トンボをオフにして書き出したはずなのに大きい、という食い違いがあれば、ここで気づけます。

印刷会社側の話を一つ。CanvaのPDFには仕上がり枠(TrimBox)が正しく書き込まれています。こちらはこの枠を読んで面付けするので、ページサイズが大きいこと自体は問題になりません。問題になるのは、この枠の寸法が注文サイズと違うときです。

Canvaから書き出した名刺のPDF。四隅にトンボ、背景は塗り足しまで届いている
書き出したPDF。四隅にトンボが付き、背景は仕上がり線の外まで続いている。

フォント、ページ数、拡大して見るところ

PDF(印刷)で書き出すとフォントは埋め込まれます(実測ではSource Han Sansがサブセットで埋め込まれていました)。通常は文字化けしませんが、絵文字や特殊な記号は別の形になることがあるので、文字を拡大して一度追ってください。

  • ページ数と順番。作業中の空白ページが残っていないか。両面なら表裏の天地が揃っているか
  • 400%くらいまで拡大して、四隅と文字の周り。背景が端まで届いているか、文字が仕上がり線に寄っていないか
  • 写真の輪郭。ぼやけやギザつきは、紙ではもっと目立つ
  • 色が明るすぎる部分。RGBのままだと、紙では落ち着いて出る

書き出しの順番まとめ

順番やること
1注文先の入稿ガイドで、トンボの有無・フラット化・カラーの指定をメモする
2「共有」→「ダウンロード」→ファイルの種類「PDF」→プリセット「プリント」(旧画面では「PDF(印刷)」)
3「高度な設定」を開き、トリムマークと塗り足し/フラット化を指定どおりに。カラープロファイルも指定に合わせる
4書き出したPDFを開き、プロパティで仕上がり寸法、ページ数、文字、写真を確認する

指定が見つからない、意味が分からない。そのときは、Canvaの画面に出ている項目名をそのまま書いて聞いてください。「PDFで書き出す際、トリムマークと塗り足し、PDFのフラット化はそれぞれオンとオフのどちらがよいですか。カラープロファイルの指定があれば教えてください」。専門用語に置き換えなくても、受ける側には伝わります。

よくある質問

PDF(標準)とPDF(印刷)、どっちを選べばいいですか?

印刷会社に入稿するなら「印刷」(現行の画面ではPDF→プリセット「プリント」)です。標準は画像が96dpi相当に圧縮され、トリムマークや塗り足しも選べない画面用の形式です。自宅のプリンターで確認するだけなら標準でも足ります。

ダウンロード画面に「PDF(印刷)」がありません

新しい画面では、ファイルの種類で「PDF」を選んだあとにプリセット「デジタル/プリント」が出ます。「プリント」を選び、「高度な設定」を開くと、トリムマークと塗り足し、フラット化の項目が現れます。項目の名前と意味は「PDF(印刷)」と同じです。

PDFのフラット化はオンにすべきですか?

印刷会社によって指定が分かれ、どちらが正解ということはありません。オンにするとフォントの入れ替わりや透明の重なりのトラブルは減りますが、細い文字がにじんで見えたり、文字が文字データでなくなったりすることがあります。指定がなければオフのまま送り、指定があればそれに従ってください。

トリムマークと塗り足しはオンにすればいいですか?

注文先の指定によります。トンボ付きを求める会社ならオン、仕上がりサイズちょうど(トンボなし)を求める会社ならオフです。Canvaではトンボと塗り足しが1つの項目なので、塗り足しだけ付けることはできません。

PDF/X-1aを指定されたらどうすればいいですか?

CanvaにはPDF/X-1aの書き出しはありません。有料プランでCMYKにし、フラット化と塗り足しを設定すれば近づきますが、規格に適合するわけではありません。厳密に求められた場合は、Acrobat Proのプリフライトで変換するか、印刷会社側で変換してもらえるかを注文前に聞いてください。

書き出したPDFのページサイズが仕上がりより大きいのはなぜですか?

トリムマークと塗り足しをオンにすると、塗り足し3.175mmとトンボを描く余白が外側に付くため、名刺91×55mmなら約104×68mm、A4なら約222×309mmになります。PDFの中には仕上がり枠(TrimBox)が91×55、210×297で正しく書き込まれているので、印刷会社はその枠を読んで裁ちます。

無料プランでもPDF(印刷)は使えますか?

使えます。トリムマークと塗り足し、フラット化も無料プランで選べます。有料プランだけの機能はカラープロファイルをCMYKにする部分で、無料プランではRGBのまま書き出されます。

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この記事を書いた人

印刷の便利帳 編集人。印刷と製本の現場に20年以上。製造・営業・企画・経営を通して、紙と加工の実務を見てきました。自分で発注して刷り上がりを確かめた一次データをもとに、印刷の頼み方を書いています。

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