サファイアブルーとは

サファイアブルーは、宝石サファイアの青にちなむ、深い青を指す英語の色名です。
サファイアブルーの由来
英語の「sapphire blue」を写した色名で、宝石サファイア(青玉)の青にちなむ。深い青を指し、英語の辞書は sapphire の色を紫みを帯びた深い青と説明する。
英語で sapphire が色名として使われはじめた時期は、1430年とする説明と、1680年代までにとする説明があり、一致していない。
宝石サファイアとは
サファイアは、酸化アルミニウム(Al₂O₃)の結晶である鉱物コランダム(鋼玉)のうち、赤いルビーを除いた宝石質のものの呼び名。青のほか、ピンク、黄、緑、紫、オレンジ、無色など赤以外のさまざまな色があり、青いものは「ブルーサファイア」と区別される。したがって「サファイアの色」と「サファイアブルー」は同じ意味ではなく、サファイアブルーは、多様なサファイアのうち青いものを取り出した色名にあたる。

青くなる仕組み
純粋なコランダムの結晶は無色透明で、結晶に入ったごく少量の元素が色の原因になる。青いサファイアでは、鉄とチタンが関わるとされる。結晶の中で近くにある鉄とチタンの間で電荷が移ることで光の一部が吸収され、吸収されなかった青の光が残って見える。ルビーの赤は、アルミニウムの位置にクロムが入ることによる。
鉛白は広い波長の光を散らして戻すことで白く見えるのに対し、サファイアの青は光の一部を選んで吸収することで生まれる。色の生まれ方が異なる。
名前の由来と注意点
サファイアという語は、ギリシア語の sappheiros にさかのぼる。ただしこの古代の語は、現在のサファイアではなくラピスラズリを指していた可能性が高いとされる。昔の文献に「サファイア」と訳せる語が出てきても、現代の宝石学でいうサファイアとは限らない。
色名のサファイアブルーは、宝石を手本に青の色を表す呼び方で、サファイアを砕いた顔料を使うという意味ではない。
硬さ・産地・青の幅
モース硬度は9で、ダイヤモンドに次いで硬い鉱物とされる。ただし硬度は傷つきにくさの尺度で、割れにくさを示すものではない。ブルーサファイアの産地ではカシミール産が知られ、その色が青いサファイアの基準とされてきた。一方で、同じ産地の石にも青の濃さや鮮やかさの幅があり、「この産地ならこの青」と決められるわけではない。
宝石の評価では、鮮やかさに加えて明るさとのバランスが重要とされる。GIAは高く評価されるブルーサファイアについて、中程度からやや暗い明るさの、鮮やかな青から紫みの青を挙げている。暗すぎて青が十分に見えない石は、色が濃いだけでは高く評価されない。

結晶を見る方向で色の見え方が変わる多色性や、石の内部で色の濃い部分と薄い部分が分かれる色帯もあり、カットではこうした特徴を考えて向きを選ぶ。丸く磨いたカボション形にすると、内部に並んだ針状の包有物が光を反射して星のような光が現れる「スターサファイア」もある。流通する石には、色や透明感の改善のために加熱処理されたものもあり、加熱処理した天然石と、人工的に育てた合成サファイアは区別される。
連想されるもの
サファイアは歴史的に王族や聖職者と結びついてきた宝石で、GIAは、高貴さ、真実、誠実さ、忠実さが伝統的に託されてきた意味だと説明している。中世の聖職者は、天を象徴するものとして青いサファイアを身につけた。1981年には、ダイアナ妃の婚約指輪として青いサファイアの指輪が贈られている。これらは歴史や文化の中で育った象徴性で、この青を見ると人が誠実になる、といった意味ではない。
色名と規格の違い
RAL(建築・工業などの色指定に使われる色見本体系)には、RAL 5003「Sapphire blue」がある。ただし、この規格の色と、宝石の色、各種の商品色の「サファイア」が、すべて同じになるわけではない。色名はイメージを共有するための言葉で、特定の色の指定には規格番号や実物の見本を使う。
画面の一色で表せるのは平面的な色で、宝石の方向による見え方の違いや、カット・包有物による光の表情は含められない。印刷では、インキ・用紙・出力条件によっても見え方が変わる。
このページの代表色について
サファイアブルーには資料によって色の幅があります。本ページでは複数の色名資料を照らし合わせ、比較や印刷シミュレーションに使用する代表色を設定しています。
サファイアブルーは画面と印刷でどう違う?
コート紙想定では、少し明るくなる、少し鮮やかさが下がる。上質紙などの非塗工紙想定では、はっきり明るくなる、はっきり鮮やかさが下がる、少し青みに寄る。
ⓘ ΔE00とは
2つの色の違いを表す国際的な色差の数値です。1未満は見分けにくいほど、1〜2はわずか、2〜3.5は少し、3.5〜5ははっきり、5以上は大きな差の目安です。
サファイアブルーは紙によってどう変わる?
同じサファイアブルーでも、刷る紙によって仕上がりが変わります。紙そのものの白さの違いも含めて、コート紙想定と非塗工紙想定で刷った色を並べました。
コート紙想定から非塗工紙想定にすると、はっきり明るくなる、はっきり鮮やかさが下がる。コート紙用のCMYKのまま非塗工紙に刷ると、はっきり明るくなる、はっきり鮮やかさが下がる。紙に合わせたCMYKにするほうが、ねらいの色に近づきます。
サファイアブルーを印刷するときの注意
使う版(インキの色数) 2版C94M67YK
| 使う版 | 2版(シアン・マゼンタ)コート紙想定のCMYK |
|---|---|
| 総インキ量 | 161%4色の網点%の合計(非塗工紙想定は167%) |
| 転びやすさ色のブレやすさ | ふつうΔE00 2.4ⓘ 転びやすさとは印刷の便利帳独自の目安です。各版の網点が±4%変動したときの色差(ΔE00)から求めています。一般的な規格の数値ではありません。計算・シミュレーション条件 |
| 入稿のときの注意 |
|
サファイアブルーの詳しい印刷シミュレーション
版ごとの変化
サファイアブルーは、それぞれの版の網点を重ねて刷ることで出す色です。丸の下の数値は、その版の網点が±4%ぶれたときの色の変化(ΔE00)です。
墨への置き換え(GCR)
サファイアブルーはイエローを使わない配合のため、C・M・Yが重なってできる灰色の成分がなく、墨に置き換えられる部分がありません(コート紙想定のCMYK C94 M67)。墨に置き換えたときの変化を見るための簡易シミュレーションで、実際のICCプロファイルの墨版の作り方そのものではありません。GCRとは →
網点の拡大図
AMスクリーンは、規則的に並んだ網点の大きさを変え、版ごとに角度をずらして重ねることで濃淡を表現します。
FMスクリーンは、ごく小さな点を不規則に散らし、点の数で濃淡を表現します。
図は拡大したイメージです。AMスクリーニングとは → FMスクリーニングとは →
サファイアブルーに近い色
丸の左半分がサファイアブルー、右半分がその色です。サファイアブルーと比べた違いを、色の差(ΔE00)が小さい順に並べています。
鮮やかさが高い
紫みが強いΔE00 3.0
鮮やかさが低い
青みが強いΔE00 3.1
鮮やかさは近い
紫みが強いΔE00 3.3
鮮やかさがやや低い
紫みが強いΔE00 3.5
サファイアブルーのカラーコード
HEXとCMYK(コート紙想定)はページ冒頭に載せています。RGB・Lab・LChなど、色校正や測色のやりとりに使う数値はここにまとめています。
RGB・Lab・LChなどの数値を見る
| HEX | #0054A6代表色(sRGB) |
|---|---|
| RGB | R 0 G 84 B 166 |
| CMYKコート紙想定 | C94 M67 Y0 K0PSO Coated v3(FOGRA51)で計算 |
| CMYK非塗工紙想定 | C100 M67 Y0 K0上質紙などの非塗工紙を想定。PSO Uncoated v3(FOGRA52)で計算 |
| LabD50 | L 35.3 a 4.4 b -51.1 |
| LChD50 | L 35.3 C 51.3 h 275.0°明るさ・鮮やかさ・色相で表したもの |
| 系統 | 青系 |
| 分類 | 欧米(特定の国に限らない)・鉱物・宝石 |
CMYKは印刷条件ごとに変わる目安の値です。入稿先の印刷会社が指定する条件がある場合は、そちらに合わせてください。
色を確かめる色見本帳と本
画面で見える色と、紙に刷った色は同じではありません。印刷物の色を決めるときは、色見本帳で実物を見て確かめると確実です。
出典・参考資料
- 色名資料コトバンク「サファイアブルー」(講談社「色名がわかる辞典」)、Merriam-Webster Dictionary「sapphire」、ウィキペディア英語版「Shades of blue」
- ICC・印刷条件PSO Coated v3(FOGRA51)、PSO Uncoated v3(FOGRA52)(European Color Initiative)
