多色印刷での各色版の重なりや、両面印刷での表裏、折りの位置を、ズレなく合わせること。ズレた状態は「見当ずれ」と呼びます。
もう少し詳しく
見当(けんとう)は、多色印刷での各色版の重なり方や、両面印刷での表と裏の位置関係が、狙いどおりに合っているかを指す言葉だ。カタカナでは「レジスター」「レジストレーション」とも呼ばれ、合っていない状態は「見当ずれ」「見当不良」と言う。ズレを防ぐ基準として、版の外側に十字形の目印(トンボ、見当トンボ)を刷り込んでおくのが基本のやり方になる。
見当ずれはパッと見でどう見分けるか
黒い文字の縁に色がにじんで見えたら、まず見当ずれを疑う。
本来はくっきり出るはずの黒文字の輪郭に、うっすらとシアンやマゼンタが顔を出している。これが典型的なサインだ。とくに次のような部分は、色のズレが目立ちやすい。
- 白抜きの文字
- 細い線
- 人物の目もと
- 黒い文字の輪郭
判断に迷うときは、仕上がりの外側に刷られたレジスターマーク(トンボ)をルーペで確認する。マークが1点にきれいに重なっていればズレは小さく、色ごとに位置がばらけていればズレが大きいと読み取れる。色校正の段階でこのズレに気づいたときは、「見当ずれ注意」のように朱字で指摘しておくと、次の刷りに反映しやすい。
見当ずれはなぜ起こるか
原因は一つではなく、版・紙・機械のどこにでも起こりうる。
刷版そのものの位置が狂っていたり、版を作る段階の設定を誤っていたりすることがまず挙げられる。加えて、印刷機を通る回数が増えるほど紙は伸び縮みの影響を受けやすくなるため、掛け合わせる色数が多い仕事ほど見当合わせは難しくなる。紙を機械に固定する基準(横方向は針、流れ方向は前当て)の精度も関わってくる。ちなみに、紙を機械に引き込む側は、その反対側よりも位置が安定しやすいとされ、見当合わせのしやすさに差が出ることがある。求められる精度そのものも一律ではなく、印刷の方式や網点の細かさなど、仕上げたい品質によって変わる。「何ミリまでなら合格」という共通の数値基準は、資料を通じて見当たらない。
トンボの色はなぜCMYKを全部100%にするのか
薄い色では見落としやすいからだ。
見当を確かめるためのトンボは、CMYKの4色すべてを100%(4ベタ)にした色、いわゆるレジストレーションカラーで刷るのが基本になっている。1色でも薄いとズレに気づきにくいため、あえて濃い色を重ね、わずかなズレでも色の輪郭が分離して見えるようにしてある。自動で見当を合わせる装置向けには、この十字形のトンボとは別の形(短冊状のマークなど)が使われることもある。
「レジスターマーク」は®マークと同じか
指しているものが資料によって違うので注意がいる。
多くの資料は「レジスターマーク」を、見当合わせに使うトンボと同じ意味で説明している。ところが一部の資料には、この言葉を登録商標の目印である「®」として説明し、印刷で使う位置合わせの十字マークのほうには「レジストレーションマーク」という別の呼び方をあてているものもある。同じカタカナ語でも、話している相手が印刷の位置合わせの話をしているのか、商標表示の話をしているのかで意味がまったく変わるということだ。「レジスターマーク」という言葉が会話に出てきたら、文脈で判断するか、念のためどちらの意味か確認したほうがよい。
由来・雑学
「トンボ」という名前は、十字形をした見当マークの姿が、昆虫のトンボの羽や胴体を思わせることから付いたとされます。見当という語自体は、浮世絵の制作時につけた目印に由来するという説もあります。
関連語
参考
JIS Z 8123-2:2013(印刷技術用語-第2部:プリプレス用語)番号2043「見当」・番号2044「見当トンボ」/日本印刷産業連合会 印刷用語集
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