複写伝票やノーカーボン用紙の仕様書に、「N40」「N60」という表記が出てきます。「N」は「ナンバー」と読みます。N40は「ナンバー40」、N60は「ナンバー60」です。何ミリの紙なのか、何グラムなのか、N60は何が違うのか。そして、日本ではなぜ薄いN40が長く使われてきたのか。海外のノーカーボン紙はどう違うのか。
この記事は、印刷の現場で使う言葉としての「N40」を、公開されている資料の範囲で整理したものです。数値は出典を明記し、確認できなかった項目は「確認できず」と書きます。理由づけを含む部分は事実と分け、「仮説」と書きます。情報は2026年10月4日時点です。
先に結論:ノーカーボン紙のN40で確認できたこと
- N40の「N」は「ナンバー」と読み、N40は「ナンバー40」です。
- N40は、ノーカーボン紙(感圧紙)の厚さの区分の名前です。「40g/㎡」という意味ではありません。
- 日本製紙の品質規格書では、N40の紙厚は59〜62µm(約0.06mm)、坪量は43.0〜49.0g/㎡です。
- N40は、ノーカーボン紙の中でいちばんよく使われる厚さとして、コニカミノルタが説明しています。
- 富士フイルムは1963年に感圧紙の販売を始め、複写帳票用・コンピューター出力用として需要が伸びたと自社史に書いています。
- 確認できた海外のデジタル専用ノーカーボン用紙は、N区分ではなく坪量(g/㎡やポンド)で表記され、75〜86g/㎡前後でした。
- 確認できた範囲の販売ページでは、一般向けの通販はN50・N60が中心で、N40は印刷会社向けの販売が目立ちました。
ノーカーボン紙(感圧紙)のN40とは?複写の仕組みと厚さの区分
ノーカーボン紙は、圧力で発色する仕組みを紙に組み込んだ複写用紙で、ノンカーボン用紙、ノーカーボン複写用紙などの名前でも売られています。感圧紙とほぼ同じ意味で使われます。上用紙・中用紙・下用紙を重ねて書くと、筆圧でマイクロカプセルが壊れ、下の紙の表面に色が出ます。カーボン紙のようにインクを塗った紙を挟む必要がありません。
N40の「N」は、紙の厚さを区分する呼び名の一部です。数字は、日本製紙の品質規格書を見ると、大きいほど紙厚・坪量が大きくなる関係にあります。ただし、「Nの意味」や区分の決め方を定めた公的な規格は、今回の調べでは確認できませんでした。メーカーや印刷会社の呼び名として使われている区分と考えるのが安全です。
ノーカーボン紙の仕組みや、上用紙・中用紙・下用紙の違いから確認したい方は、基礎をまとめた記事があります。


複写伝票に使うノーカーボン用紙の種類:N30〜N130の厚さと紙厚
日本製紙の品質規格書(CCP NEO・一般の青発色)に載っている数値を、厚さの区分ごとに並べます。表の数字は「坪量(g/㎡)/紙厚(µm)」で、メーカーによって数値は異なるので、目安として見てください。

| 厚さ区分 | 上用紙 | 中用紙 | 下用紙 |
|---|---|---|---|
| N30 | 公開なし | 44.5/59 | 公開なし |
| N40 | 43.0/59 | 46.5/62 | 49.0/59 |
| N50 | 51.0/67 | 54.5/72 | 58.0/71 |
| N60 | 63.5/80 | 67.5/85 | 65.0/76 |
| N80 | 83.0/103 | 公開なし | 85.5/100 |
| N100 | 公開なし | 公開なし | 104.5/118 |
| N130 | 公開なし | 公開なし | 129.0/148 |
「公開なし」は、公開されている品質規格書を確認できなかったという意味で、その区分がないということではありません。同じ区分でも、メーカーや製品によって数値は少し違います。たとえば日本製紙のNIP-CCP(N60)は紙厚93/95/85µm(上/中/下)で、CCP NEOのN60(80/85/76µm)より厚い値です。区分の名前と実測値は、完全には一致しないことがあります。
表のとおり、数字が大きいほど紙厚・坪量が大きくなります。日本製紙の規格書では、N30は中用紙、N80は上用紙と下用紙、N100・N130は下用紙が公開されています(規格書の表記はN10・N13)。複写できる枚数や用途に合わせて、区分を使い分けます。
N40は何mm、何g?コピー用紙と比べた厚さ
数字のNに続く40は坪量ではありません。日本製紙の品質規格書では、N40(CCP NEO)は次の値です。
| 上用紙 | 中用紙 | 下用紙 | |
|---|---|---|---|
| 坪量(g/㎡) | 43.0±3.0 | 46.5±3.0 | 49.0±4.0 |
| 紙厚(µm) | 59±4 | 62±4 | 59±4 |
上用紙・中用紙・下用紙で塗工の量が違うため、坪量も少しずつ違います。詳しい数値は図鑑の日本製紙CCP NEOにまとめています。坪量と連量の換算は、連量・坪量の換算ツールが使えます。

コピー用紙と比べた説明は、メーカーや販売店によって違います。コニカミノルタは、N40はコピー用紙よりもやや薄めと説明しています。通販のPaper and Goodsは、中厚口(#50)をコピー用紙程度の厚みと表記しています。N40はコピー用紙よりやや薄い、という感覚で捉えるのが無難で、厚さの比較は数値で確認するのが確実です。
ノーカーボン紙の坪量は、メーカーや製品ごとに違い、公開されていない製品も多くあります。たとえばニューマイクロペーパー(NCP)やMBS感圧紙(F-KAN)は、公開資料で坪量を確認できませんでした。
請求書・納品書・領収書:伝票・帳票の用途とN40
ノーカーボン紙は、請求書、納品書、領収書、契約書の控えなど、手書きで記入して複写を残したい伝票・帳票に使われます。伝票用紙として、上用紙に書いた文字が中用紙、下用紙に写り、控えを同時に作成できるのが特長です。

N40は、日本製紙・三菱製紙とも上用紙・中用紙・下用紙の製品が用意されている区分で、コニカミノルタが「一般的によく使われる厚さ」と紹介しています。
帳票・伝票の歴史から考える:なぜ日本ではN40が標準になったのか
確認できている事実
- 富士フイルムは1958年1月に感圧紙の試作研究に着手し、1963年4月に「富士フイルム感圧紙」として販売を始めました。従来のカーボン紙に代わる複写用紙として、帳票・伝票市場を主なターゲットにしたと自社史にあります。
- 同社は、発売後は複写帳票用あるいはコンピューター出力用として需要が急伸し、1970年には複写帳票の30%を占めるまでに成長したと記しています。
- 現在も、コニカミノルタは「ノーカーボン紙で一般的によく使われる厚さはN40」と説明しています。

編集部の仮説
ここから先は、メーカーが理由を明言しているわけではない、編集部の仮説です。
- 帳票の主な用途が、複数枚を重ねる連続伝票や、ドットインパクトプリンターで打ち出す帳票だった時代があります。その用途では、できるだけ薄い紙で多く複写できること、冊子にしたときの厚みを抑えることが重視されたのではないか、と考えられます。
- いったんN40が標準になると、帳票の仕様書、製本の厚み、既存のフォーム印刷機などがN40を前提にそろい、変えにくくなったのではないか。その結果、印刷機のほうをN40に合わせて対応する発想になりやすかったのではないか、と思います。
どちらも確認済みの事実ではありません。実際の理由は、メーカーや当時の関係者の資料で確かめる必要があります。
印刷会社としての実感を一つ加えると、ナンバー40の紙はナンバー50より仕入れの値段が安いと感じます。昔は値段のことも含めて、お客様にナンバー40をおすすめする進め方をしていたのではないか、と思います。これも数値で確認したものではなく、実務の感覚です。
海外のノーカーボン用紙は何が違うのか:坪量と印刷機への対応
確認できた範囲では、海外メーカーは、日本のようなN区分ではなく、坪量で製品を表しています。Oji Paper Thailandのphoenixは通常品が45〜158g/㎡の幅広い展開、Koehlerのreacto LASERは80g/㎡、Lectaのユーロカルコは75g/㎡と80g/㎡の記載、Nekoosaは22〜23ポンド(83〜86g/㎡)です。
| 日本(N40中心の流れ) | 海外のデジタル専用品 | |
|---|---|---|
| 厚さの表し方 | N30〜N130の区分 | 坪量(g/㎡)やポンド |
| 代表的な厚さ | N40:紙厚約0.06mm、坪量43〜49g/㎡ | 75〜86g/㎡ |
| 背景として確認できること | 帳票・伝票、コンピューター出力用として普及 | デジタル印刷機向けとメーカーが説明 |
| こわさ(剛度)の公表値 | 確認できず | 確認できず |
「海外には薄いノーカーボン紙がない」わけではありません。phoenixの通常品は45g/㎡から用意されています。違いとして確認できるのは、デジタル専用品が厚めに作られている点です。2012年には、Mitsubishi HiTec Paper Europeが60g/㎡の軽量デジタル用ノーカーボン紙を紹介した記録もあります。
レーザープリンターやオンデマンド印刷機で使う紙の選び方、各社の製品の比較は、ノーカーボン紙の印刷はレーザープリンターでできる?N40とN60の違いと主要メーカー比較にまとめました。

N40はどこで買える?通販のサイズ・タイプ・注文の注意
確認できた範囲の販売ページでは、紙の問屋の販売ページに「ニューマイクロペーパー N40 下 厚さ0.06mm 2000枚 印刷会社様向け」の表記がありました。一方、個人や小規模の事業者向けの通販では、N50(上紙・中紙・下紙を別々に販売)や、厚口(#60)・中厚口(#50)、N60・75g/㎡のA4・500枚入りの商品が目立ちました。すべての販売店を調べたわけではないため、傾向として見てください。
- サイズ:A4、B5、A3など。A4を2分割・3分割できるマイクロミシン目入りのタイプもあります。
- 枚数:100枚、500枚、1000枚、2000枚などの単位で注文します。
- 位置:上用紙・中用紙・下用紙を別々に注文する場合は、必要な枚数のバランスに注意します。
- プリンターで使う場合:商品ページの「対応」の表記は販売店の説明で、メーカーの適合試験とは限りません。
薄いN40の良いところと注意点:複写・製本・使用する機械
ここは、公開資料に基づく部分と一般的な考え方を分けて書きます。
- 複写:厚い紙ほど筆圧が奥まで届きにくいという関係は、販売店の表記からも読み取れます。通販の販売ページでは、厚口(#60)は3〜4枚複写向き、中厚口(#50)は4〜5枚複写向きとされています。これは販売店の目安で、メーカーの保証値ではありません。
- 製本:薄い紙は、冊子や伝票にしたときの厚みを抑えやすいと考えられます。
- 機械での走行:薄い紙は、機械で通しにくい場合があります。英国の紙商Calco Paper Servicesは、56〜75g/㎡の品種で走行性に問題があったため80g/㎡だけを販売していると説明しています(流通業者の説明で、メーカーの公式見解ではありません)。Lectaは、レーザープリンターで使うなら75g/㎡以上のこわさの高い紙を勧めています。
複写伝票を綴じたとき、何冊で何cmの厚みになるかを知りたいときは、紙の厚み計算ツールが使えます。

印刷会社の現場から:ナンバー40の読み方と、N50を提案することがある理由
印刷の現場では、N40を「ナンバー40」、N60を「ナンバー60」、N80を「ナンバー80」と読みます。
ここからは公開資料ではなく、印刷会社としての実務経験です。ナンバー40をオンデマンド機で印刷すると、シワが出やすいと感じます。空気中の湿度が高い梅雨の6月ごろは、紙が機械に吸いにくく、なかなか大変です。そのため、ナンバー40ではなくナンバー50でもいいですか、と事前にお客様にお聞きしたうえで使っていただくことがあります。
昔のように3枚、4枚、5枚と多く複写する伝票でなければ、ナンバー50を使うと「こちらのほうが書きやすい」と言ってくださるお客様も意外と多くいらっしゃいます。メーカーの公式な見解や実測データではなく、現場での感覚です。この見方は、複写伝票に本当に必要な精度とは?の記事で、ユーザー・現場・経営の視点から詳しく書いています。

手書きの筆圧と、タイプ・用途に合わせた選び方
手書きで伝票用紙に記入する場合、筆圧が足りないと最終の紙まで文字が写りにくくなります。複写の濃さは、紙の厚さだけでなく、筆圧、筆記具、複写枚数、紙の保管状態でも変わります。仕様を決めるときは、実際に書いて、最後の紙まで読めるかを確認するのが確実です。

- 複写枚数:2枚か、3枚か、4枚以上か
- 書く道具:ボールペンなどの筆記具、書く人の筆圧
- 書類の用途:控えが読めればよいのか、保存や耐久性が必要か
- 製本の厚み:綴じたときの厚み、ミシン目や天糊の加工、フォーマットの面付け
- 機械で印刷するか:プリンター・オンデマンド機を使うなら、機種ごとのメーカー案内と事前テスト
よくある質問
- ノーカーボン紙のN40とは何ですか?
-
ノーカーボン紙の厚さの区分の名前です。紙厚は、日本製紙の品質規格書で59〜62µm(約0.06mm)です。国内でいちばんよく使われる厚さとされています。
- N40は40g/㎡ですか?
-
いいえ。日本製紙の品質規格書では、N40の坪量は上用紙43.0g/㎡、中用紙46.5g/㎡、下用紙49.0g/㎡です。区分の名前は坪量そのものではありません。
- N40とN60は何が違いますか?
-
N60のほうが厚い区分です。日本製紙のCCP NEOでは、N40が紙厚59〜62µm・坪量43.0〜49.0g/㎡、N60が紙厚76〜85µm・坪量63.5〜67.5g/㎡です。レーザー適性を明記したNIP-CCP(N60)は、紙厚85〜95µm・坪量68.5〜73.0g/㎡です。
- N30やN80は何に使いますか?
-
日本製紙の規格書では、N30は中用紙、N80は上用紙と下用紙、N100・N130は下用紙が公開されています。数字が大きいほど厚い区分で、複写する枚数や用途に合わせて使い分けます。
- N40で請求書や納品書の複写伝票は作れますか?
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N40は上・中・下のすべてに使える区分とされ、請求書・納品書・領収書などの複写伝票で広く使われています。複写の濃さは筆圧や枚数でも変わるため、実際に書いて確認してください。
- ノーカーボン紙とカーボン紙の違いは何ですか?
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カーボン紙は、インクを塗った紙を複写したい紙の間に挟み、筆圧でインクを写します。ノーカーボン紙は挟む紙が要らず、マイクロカプセルの発色剤と顕色剤の反応で色を出します。
- 海外にもN40のような区分はありますか?
-
確認できた海外メーカー(Oji Paper Thailand、Koehler、Lecta、Nekoosa)は、N区分ではなく坪量やポンドで表記していました。海外の流通品で同様の区分が使われているかどうかは、確認できていません。
- N40はプリンターやコピー機で使えますか?
-
機種によります。コニカミノルタはAccurioPress C4080/C14000がN40に対応していると案内しています。詳しくはN40とN60の比較記事をご覧ください。
まとめ
N40は、40g/㎡という意味ではなく、厚さの区分の名前です。紙厚は約0.06mm、坪量は43〜49g/㎡で、国内で最もよく使われています。日本で薄い紙が標準になった背景には、帳票・伝票という用途の歴史があったと考えられますが、理由づけの部分は仮説です。海外のデジタル専用品は厚めで、坪量で表されます。どちらが優れているかではなく、複写枚数、書く道具、機械、製本の条件に合わせて選ぶことが大切です。
主な出典
- 富士フイルムのあゆみ 感圧紙の事業化
- 富士フイルムのあゆみ 感圧紙の伸長
- 日本製紙 ノーカーボン紙(製品ページ・品質規格書)
- コニカミノルタ フォーム印刷業界の課題と取り組み
- Oji Paper Thailand Carbonless Paper
- Koehler reacto LASER
- Lecta Eurocalco Digital(2014年の発表・保存版)
- Lecta Eurocalco 印刷・取り扱いの推奨(元ページはリンク切れのため保存版)
- Nekoosa Digital Carbonless
- Mitsubishi HiTec Paper Europe(Giroform DIGITAL Light、2012年・プレスリリース)
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