無線綴じなどの製本で、表紙が本文をくるむ部分にあたる背表紙の厚み方向の幅のこと。本文用紙の厚さとページ数で数値が決まる。
現場ではこう使う
背幅は本文の紙の厚さとページ数が決まらないと確定しない。背に文字を入れたい場合は、「背文字を入れたいなら、最低これくらいの背幅が欲しいですね」と伝えられることがある。
もう少し詳しく
背幅は、表紙のデザインを始める前に確定させておくべき寸法です。無線綴じ(くるみ製本)では、表紙が本文の束(つか=中身の厚み)を包み込むことで背表紙ができるため、本文用紙の厚さとページ数が決まらない限り、正確な背幅は出せません。表紙まわり(表1・背・表4)を1枚のデータとして作る以上、背の幅が決まらなければレイアウトそのものが組めない、という順序の問題があります。
「背幅は最後に確定する数字」ではなく、「表紙制作の起点になる数字」だと捉えておくと、あとの手戻りが減ります。
どう計算するか
概算式は、表紙の厚さの2倍に、本文1枚の厚さへページ数の半分を掛けた数値を足したものです。 この式なら、印刷会社に本文用紙の厚みを確認するだけで、表紙デザインに着手できる段階のおおよその背幅がわかります。
ただし、この式は見返し用紙(表紙と本文の間に挟む用紙)の厚みまでは含んでいないのが一般的です。見返しを挟む造本では、その分の厚みも見込むべきだという考え方もありますが、どこまで加算するかは案件によって扱いが分かれるところなので、事前に確認しておくと安心です。
計算どおりに仕上がるか
計算した背幅と、実際に仕上がった背幅は、ぴったり一致するとは限りません。 本来は、計算だけで済ませず、実際に使う本紙で作った束見本を実測して決めるのが基本のやり方です。
というのも、紙の重なりには誤差が出ます。上製本では、糸かがりのあと、束をパレットに1〜2日置いておくだけでも厚みが変わります。30mmほどの厚みで1mm以上ずれる例も報告されています。しかも表紙をくるむときの位置合わせは片側の辺を基準にして行われるため、誤差は背の両側に均等に散らばらず、基準の反対側にそのまま現れます。
だからこそ、背幅がはっきりわかる線や、幅いっぱいに広がる文字を入れるデザインは避けておいたほうが安全、という工夫が現場にはあります。
束と背幅は同じ意味か
「束」は、多くの場合、表紙を除いた中身だけの厚みを指す言葉です。 束見本という言葉も、本来は中身の厚みを確かめるための見本という意味合いで使われます。
ただし資料によっては、束という言葉を、表紙まで含めた背幅全体の厚みという意味で使っている場合もあり、線引きには幅があります。背幅(表紙を含めた外側の寸法)と束(中身だけの厚み)は近い場面で使われる言葉なので、案件の中でどちらの意味を指しているのか、都度確認しておくと誤解を防げます。
似た言葉に「とじ厚」もありますが、これはリングファイルなどに綴じ込む中身の厚み(内径)を指す言葉で、背幅・束(外径)とは値が一致しないため、別の寸法として扱われます。
背文字を入れるなら何mm必要か
目安として、背幅がおよそ3mm以上ないと、背文字は入れにくくなります。 ただし、この「3mm」には性格の違う2つの目安が混ざっています。
| 観点 | 目安 | 何のための数字か |
|---|---|---|
| 無線綴じの接着強度 | 最低3mm程度(16ページほど・背の厚み1mmほどでも綴じられる仕様もある) | 表紙を接着できるだけの厚みがあるか |
| 背文字の可読性 | 3mm以上 | 文字が背に収まり、表紙側にはみ出さないか |
同じ「3mm」という数字でも、根拠にしているものは違います。現場でも、ページ数が固まる前の段階から「背文字を入れたいなら、最低これくらいの背幅が欲しいですね」と伝えることがあります。背幅が3mm程度しかないところに文字を入れると読みにくく、狭すぎると文字が表紙側にはみ出してしまうこともあるからです。
由来・雑学
背幅が広い本では、背表紙のデザインに凝ることができる。百科事典のタイトル文字を金文字にする、といった例がある。
用紙とページ数から背幅と表紙の展開サイズを出したいときは「背幅計算ツール」を使ってください。
関連語
参考
日本印刷産業連合会 印刷用語集「束」/竹尾 紙の基礎知識「束」
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