印刷した紙や製本した本を、断裁機を使って仕上がり寸法どおりに切りそろえる工程のこと。同じ意味で「裁断」と書かれることもある。
現場ではこう使う
断裁のズレは、精密に調整してもゼロにはできない。「一般的には、1mm程度のズレは起こり得るものとして設計しています。だからこそ、塗り足しを3mm付けます」と説明されることがある。塗り足しのないデータについては、単純な背景であれば伸ばして対応できることもあるが、写真や複雑なデザインの場合は対応できず、データの作り直しを依頼されることがある。
もう少し詳しく
断裁は、印刷・製本の最後に紙を仕上がり寸法へ切りそろえる工程です。単純な作業に見えますが、表記の揺れ、入稿データ側の工夫、断裁そのものの精度という、発注者が知っておいて損のない論点がいくつかあります。とくに塗り足し(断裁のズレを見込んだ余白)は入稿データの作り方に直結するため、なぜ必要かを理解しておくと事故を防げます。
「断裁」と「裁断」はどちらが正しいか
製本業界の用語集は「断裁」への表記統一が望ましいとしていますが、実際には「裁断」「裁断機」と呼ぶ事業所やメーカーも少なくありません。 もともと「裁断」は、布や革を型紙に合わせて切ることを表す語で、紙を切る工程にも後から使われるようになった言葉だとされています。
呼び方の範囲にも違いがあるという見方があります。「裁断機」は紙に限らず布・革やプレスによる型抜き加工の機械まで含む広い言葉として使われ、一方の「断裁機」は、紙をまっすぐに切る機械という意味に絞られる、という説明です。もっとも、この線引きを示す資料は多くないため、実務ではどちらの呼び方も混在していると考えておくのが実態に近いところです。
塗り足しはなぜ3mm必要か
仕上がり線ぴったりに印刷すると、断裁のわずかなズレがそのまま紙の端の白フチになって現れます。 これを防ぐため、仕上がり線より外側へ3mmほど絵柄や地色を伸ばした「塗り足し(ドブ)」を確保しておきます。
ズレが起こる理由は一つではありません。
- 断裁刃そのものの歪み
- 紙のカールなど、紙自体のクセ
- 紙の厚みのばらつき
- 刃の角度や、紙を押さえる圧力の偏り
何百枚、何千枚と重ねて一度に断裁するため、こうした要因が積み重なると数値としてのズレが生まれます。3mmという数字自体は規格で定められた基準ではなく、業界の経験則としての目安ですが、多くの現場で共通して使われています。
化粧断ちにはどんな種類があるか
断裁と一口に言っても、何を・どこまで切るかによって呼び方が変わります。
| 呼び方 | 対象 |
|---|---|
| 四方断裁(四方化粧) | 紙の四辺すべてを切りそろえる |
| 三方断裁(三方化粧) | 綴じた背を残し、天・地・前小口の三方を切りそろえる |
三方断裁は、上製本の中身や並製本、雑誌などでよく使われる仕上げ方です。綴じた背の側は切らずに残すため「三方」という名前がついています。こうした仕上げのための断裁は「化粧断ち(化粧裁ち)」とも呼ばれ、実際の作業手順には片面突き当てや二度断ちなど、10種類を超える細かな技法があるとされています。
断裁の精度は発注者にどう関わるか
断裁料金は、加工の項目ごとに料金体系のなかで分かれて計上されるのが一般的です。 ページ物の印刷では、三方断裁を含む工程は通常「折り・丁合い」の加工料に含まれ、表紙側の加工料とは別に計上されます。全判の紙を小さなサイズに切り分ける断裁には、高い寸法精度と熟練の技能が求められるため、紙そのものの価格とは別枠で断裁料金が発生するケースも少なくありません。
断裁の精度そのものにも幅があります。断裁の位置が斜めにずれる、綴じた折丁の一部が開いたまま残るといった不具合は、できあがった製品の見た目だけでは気づきにくく、印刷会社の工程内でのチェックに委ねられている部分です。仕上がりの精度が気になる案件では、こうしたチェック体制について確認しておくのも一つの手です。
由来・雑学
仕上げ断ちをした本が一般的になったのは17世紀以降と考えられる。それ以前は、ページの端がつながったままの状態で製本され、ペーパーナイフで一枚ずつ切り開きながら読んでいた。今でも、あえて仕上げ断ちをしない「アンカット本」が作られることがある。
関連語
参考
JIS Z 8123-4:2013 印刷技術用語-第4部:ポストプレス用語 番号4021「化粧断ち」・4024「三方断裁」・4039「断裁」/日本印刷産業連合会 印刷用語集「断裁機」「仕上げ裁ち」
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