印刷の便利帳。

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インキ

いんき ink
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印刷物に色をつけるための材料のこと。顔料などの着色剤・ビヒクル・助剤からなり、印刷方式ごとに種類がある。業界では「インク」ではなく「インキ」と呼ぶ。

目次

もう少し詳しく

印刷インキは、色を担う顔料、それを紙に運んで固着させる働きを持つビヒクル(樹脂・油・溶剤の混合物)、そして乾きや流れ具合を整える助剤という、三つの成分の組み合わせでできています。同じ「インキ」という言葉でも、印刷方式が違えば中身も乾かし方もまったく異なります。凸版や平版(オフセット)はねばりの強いペースト状のインキを使い、グラビアやフレキソは低粘度の液状インキを使う、といった具合です。現場で色や仕上がりのトラブルに直結しやすいのは、こうした「何からできているか」と「どう乾くか」の部分です。

インキは何でできているか

インキは、色を出す成分と、それを紙に定着させる成分の組み合わせでできています。 顔料は色そのものを担う成分で、粒子が細かく発色がよいものほど、少ないインキ量でもしっかり色が出ます。ビヒクルは顔料を均一に広げ、版から紙へ運び、そこに固着させる役目を持つ部分です。助剤はドライヤーやワックスなどごく少量加えられる成分で、乾く速さや流れやすさを微調整する働きをします。

印刷方式によって配合はさまざまです。書籍やチラシなど紙媒体でもっとも多く使われる平版インキは、変性フェノール樹脂や植物性の乾性油を土台としたペースト状のインキです。一方、グラビア印刷で使うインキは、樹脂を溶剤で溶かしたタイプの液状インキで、食品パッケージなどの薄いフィルムに刷るのに向いています。

乾き方の違いは仕上がりにどう影響するか

インキの乾き方には、大きく分けて酸化重合・蒸発・浸透・紫外線(UV)硬化の4通りがあります。 枚葉のオフセット印刷で使うインキの多くは、含まれる乾性油が空気に触れてゆっくり固まる酸化重合という方式です。輪転機で高速に刷るヒートセットタイプは、加熱して溶剤を飛ばす蒸発乾燥、新聞インキはインキ成分が紙にしみ込んで固まる浸透乾燥、UVインキは紫外線を当てた瞬間に硬化する方式です。

乾燥方式仕組み代表的な用途
酸化重合空気に触れてゆっくり固まる枚葉オフセット
蒸発(ヒートセット)加熱して溶剤を飛ばすオフセット輪転機
浸透インキが紙にしみ込んで固まる新聞
UV硬化紫外線を当てて瞬時に固める紙器・シールラベルなど

乾きにくいインキの代表が、濃紺や黒などの濃いベタです。CMYKを何色も重ねて作る濃い黒(リッチブラック)も同様に乾燥が遅く、乾かないうちに紙を重ねて積んでしまうと、上に重ねた紙の裏側にインキがついてしまう裏移りにつながります。総インキ量を必要以上に上げないこと、乾燥時間を十分取ること、場合によってはUVインキを使うことが対策になります。現場では、印刷の途中で濃度を測ったり刷本を抜き取って確認したりして、刷り始めと刷り終わりでインキの状態が変わっていないかをチェックしています。 オフセットは水とインキのバランスを取りながら刷る方式なので、機械が温まるにつれてわずかに色が動くことがあるためです。

大豆油インキと植物油インキはどう違うか

大豆油インキは植物油インキの一種であり、まったく同じものではありません。 どちらも石油系の溶剤の使用量を減らす環境対応インキですが、対象とする範囲が違います。大豆油インキとは、ビヒクルに使う石油系の溶剤を、大豆由来の油に置き換えて作った種類のインキを指します。開発のきっかけは1970年代に起きたオイルショックでした。

これに対して植物油インキは、より対象の広い基準です。2008年12月、印刷インキ工業連合会によって制定された基準で、大豆油に限らず、亜麻仁油やヤシ油、パーム油、廃食用油を再生した油なども対象に含み、重量比で一定の割合以上を植物由来の油にすることが条件になっています。

用途植物油の含有基準(目安)
枚葉印刷用全体の20%以上
枚葉の金・銀・パール・白インキ全体の10%以上
ヒートセット輪転(オフ輪)用全体の7%以上
ノンヒート輪転・新聞用全体の30%以上
ビジネスフォーム用全体の20%以上

基準を満たしたインキを使ったからといって、自動的に印刷物へマークを表示できるわけではありません。印刷インキ工業連合会との間で使用許諾契約を結び、登録を済ませる必要があります。 つまり、「大豆油インキを使っている=植物油インキマークを付けられる」とは限らない点に注意してください。マークを入れたい場合は、使っているインキが認定を受けているかどうかを、印刷会社に確認するのが確実です。

由来・雑学

「インキ」という語は、オランダ語のinkt(インクト)を由来とする説がある。江戸中期に蘭学とともに伝わり、当初は「阿蘭陀墨(オランダずみ)」と呼ばれていた、という説もある。

関連語

UVインキ/ヒートセット/総インキ量/裏移り

参考

印刷インキ工業連合会「印刷インキの出来るまで」「植物油インキの定義・基準・マークの制定」/JIS Z 0108:2012 包装-用語 番号2614「印刷インキ」

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更新 2026年10月12日

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