規則正しく並んだ点や線を2つ以上重ねたとき、周期のずれによって縞や斑紋が現れる現象のこと。印刷では網点の刷り重ねで起こることが多い。
現場ではこう使う
「この写真は印刷物をスキャンした画像なので、そのまま再印刷するとモアレが出てしまうことがあります」と伝えられることがある。
もう少し詳しく
モアレは、規則正しい模様同士を重ねたときに生じる縞や斑紋のことで、印刷だけの現象ではない。網目の生地、格子柄のネクタイ、テレビ画面の走査線など、規則的なパターンが重なる場面ならどこでも起こりうる。印刷の現場でとくに問題になるのは、カラー印刷で各色の版を重ねる場面と、すでに網点でできている印刷物を読み込んでもう一度印刷する場面の2つだ。
なぜ4色刷りでは完全に消せないか
ふつうの網点(AMスクリーン)である限り、モアレの芽は残る。
カラー印刷では、各色の網点が重なったときに出る干渉を抑えるため、色ごとに網点を並べる角度を振り分ける。角度差が15°以下になると目立ちやすくなるため、基本は30°ずつずらして配置する。ところが4色分の版を90°の範囲に30°間隔できっちり並べることはできない。そのため1色はどこかの版と必ず15°しか離れず、そこには視覚的にいちばん目立ちにくいイエロー版があてがわれる。結果として、4色を重ねると小さな花や亀甲のような模様(ロゼットパターン)が必ずでき、これは業界内で「視覚的に許容される最小限のモアレ」として扱われている。網点そのものを使わず、小さな点を不規則にちりばめる方式(FMスクリーニング)であれば、そもそも規則性がないためモアレもロゼットも出ない。ただしFMには、明るい部分のざらつきや平坦な部分の粒状感が出やすく、印刷の安定に高い管理レベルが求められるという別の弱点がある。
線数を上げてモアレを目立ちにくくする方法もあるが、どこから見えにくくなるかの目安は説明によって幅がある。
| 説明 | 見えにくくなる目安 |
|---|---|
| ある印刷用語集 | 250〜300線以上 |
| 別の印刷会社の解説 | 400線以上 |
| 具体例を示す解説 | 175線から225線への変更で改善した例 |
線数を上げることは有効な対策のひとつだが、「何線あれば絶対に安全」という共通の基準はないと考えたほうがよい。
主版を何度にするかは決まっているか
「必ずこの色を45°にする」という唯一の正解はない。
角度を30°ずつずらすという原則は資料間で一致しているが、どの色を基準の45°に置くかは説明によって違う。墨版(黒)を基準にする説明もあれば、日本では肌色の再現を重視してマゼンタ版を基準にするという説明もある。同じ資料の中で書き方が揺れているものすらあり、標準の角度配置がひとつに決まっているわけではないことがうかがえる。混同しやすいところなので、実際にどの色を基準にしているかは印刷所ごとの運用として確認したほうがよい。
印刷物をスキャンするとなぜモアレが出やすいか
元原稿がすでに網点でできているからだ。
雑誌やパンフレットに載っている写真は、印刷された時点ですでに細かい網点の集まりになっている。それを読み込んで、あらためて別の網点で印刷にかけると、古い網点と新しい網点の周期がずれて干渉し、縞模様として現れやすくなる。これは画像を単純に拡大・縮小したときや、画像の解像度と出力の解像度が合っていないときにも起こりうる。対応としては次のような選択肢がある。
- 網点化される前の元データを探す
- スキャンの解像度や角度を変える
- 網点の規則性をならす処理(デスクリーニング)をかける
- 輪郭以外の部分を軽くぼかす
もっとも確実なのは元データを探すことだが、それが手に入らない場合はこうした処理で軽減を図る。ただし、これらの対処をしても完全に消えるとは限らず、実際に刷ってみるまで結果が分からないことも少なくない。事前に印刷会社へひとこと伝えておくと、対応の相談がしやすくなる。
由来・雑学
語はフランス語のmoiréに由来し、元は絹織物などの表面に現れる波型の模様を指す語だったとされる。4色の網点が刷り重なると必ずできる小さな花形の模様は「ロゼットパターン」と呼ばれ、視覚的に許容される最小のモアレとされる。
関連語
参考
JIS Z 8123-2:2013 印刷技術用語-第2部:プリプレス用語(2144 モアレ)/日本印刷産業連合会 印刷用語集「モアレ」「印刷モアレ」「スクリーン角度」
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