約物とは、文字組版において文字や数字以外に用いられる記述記号類の総称で、句読点・括弧類・疑問符・感嘆符・中黒・繰り返し記号・圏点(傍点)などが含まれる。
もう少し詳しく
約物という言葉はもともと印刷の現場で使われてきた用語で、フォントの中で通常の文字や数字とは区別される記号類全般を指す。具体的には、句点「。」や読点「、」といった句読点、かぎ括弧「」」や丸括弧「()」などの括弧類、疑問符「?」や感嘆符「!」、単語や文をつなぐハイフンやダッシュ、数学記号、商用記号、圏点(傍点)、繰り返し記号などが幅広く含まれる。文字組版に使用する記述記号類の総称であり、句読点・疑問符・括弧・アクセントなどが例として挙げられる。なお、参照符や数字記号、化学記号などを「しるし物」と呼んで約物と区別する立場もある。
語源には諸説あるが、「約」の字が持つ「しめくくる」「まとめる」といった意味から名付けられたとする説がよく知られている。「役物」と表記される場合もある。約物は、句読点のように文の区切りを示したり、括弧のように語句の補足や引用を示したりするなど、文章の構造をわかりやすくし、意味を正確に伝えるうえで重要な役割を果たす。多くの約物はそれ自体を声に出して発音することはないが、慣用的に用いられることで、平仮名や片仮名だけでは表現しきれない微妙なニュアンスを文章に加えることができる。
また、和文の約物は基本的に全角で扱われるのに対し、欧文の約物はそれぞれ固有の文字幅(セット幅)しか持たないため、前後に適切な空きを加える必要があるなど、和文と欧文とで組み方の作法が異なる点にも注意が必要である。約物は、行頭や行末に置いてはいけないというルールの対象になることが多く、こうした約物の配置を調整する作業が禁則処理と呼ばれる工程につながっている。
関連語
参考
JFPI 印刷用語集(日本印刷産業連合会)/JIS Z 8123-2:2013 印刷技術用語-第2部:プリプレス用語
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