本刷りの前に見当・色を合わせながら試し刷りをすること、またその印刷物のこと。得意先へ提出する見本や、品質確認用に抜き出したサンプルを指すこともある。
もう少し詳しく
印刷機に紙をかけてすぐは、色も見当も安定していません。刷り出しとは、この不安定な状態から本刷りに入れる状態まで持っていく、最初の数十枚〜数百枚の工程そのものを指します。 ただし資料を比べると、同じ「刷り出し」という言葉が、作業だけでなく、その時に出てくる紙や、あとから抜き取るサンプルまで指していることが分かります。ここでは、その広がりを整理しながら、何を確認し、どこまでが刷り出しの範囲なのかを見ていきます。
「刷り出し」は何を指しているのか
この言葉は一つのものだけを指していません。 資料によって、少なくとも次の4つの意味で使われています。
- 本刷りに入る前の、見当・色合わせの作業そのもの
- その作業中に出る、色や見当が安定していない印刷物(多くは損紙・ヤレになる)
- 得意先に提出する、校了紙に近い仕上がりの見本
- 印刷開始後に品質確認のため抜き取るサンプル(「一部抜き」とも呼ばれる)
「悪い紙」と「見本にする良い紙」が同じ言葉で呼ばれていることになりますが、これは矛盾ではなく、作業・不安定な紙・安定してからの見本というひと続きの流れの、どの時点を指しているかの違いです。製本業界ではさらに別の使い方があり、折らずに出てくる平判の刷り本を「刷り出し」と呼び、輪転機で折られて出てくる「折出し」と区別して料金を計算します。
刷り出しでは何を確認するか
見るのは色と見当が中心ですが、それだけではありません。 まずCMYK各色がきちんと重なっているかという見当、次に写真の肌色やベタ、グレーの濃度を確認します。そのうえで、汚れやゴミ、ピンホール、版の傷、色ムラ、ゴースト、乳化や裏移りの兆候、くわえ側の状態まで見ます。文字物であれば小さな文字が太っていないか・つぶれていないか、写真物であれば暗部がつぶれていないかも点検の対象です。きれいに見えるかどうかより、事故が起きやすい箇所を意識して見ることが大事で、これは全体をなんとなく眺めるだけでは見落とします。安定したと判断できた時点で、初めて本刷りに切り替わります。
何枚・何分で安定するか
機械が温まり、インキと水のバランスが落ち着くまでの目安は、資料によって書き方が分かれます。
| 資料 | 目安 |
|---|---|
| 印刷会社の解説 | 数十枚〜数百枚 |
| 製本用語集 | 印刷開始から1〜2分程度 |
| 別の印刷会社の解説 | 30枚をめくった頃、そこから40枚目のあたり、さらに100枚に近づいた頃合いで抜き取りながら、基準となる1枚(OKシート)を決めていく |
数字が割れているのは、機械や案件によって条件が違うからで、絶対的な正解が一つあるわけではありません。 色数やインキの盛り量、紙の種類によって安定までの時間は変わるため、目安として幅を持って捉えておくのが現実的です。刷り出しの最中に色基準帯(コントロールストリップ)の数値を読み取り、インキの盛り量を機械側で追い込んでいくタイプの印刷機なら、必要な枚数そのものを抑えられます。
立ち会いでは何を確認するか
刷り出しの点検は基本的に印刷所の中で完結しますが、発注者や編集者が現場に出向いて確認する場合、これを「立ち会い」と呼びます。 立ち会いで見るのは主に色(意図した色合いになっているか)と、修正指示がきちんと反映されているかの2点で、件数としては色の確認が最も多くなります。印刷の現場で規定の範囲に収まっている色でも、発注者の頭の中にあるイメージと違えば納得は得られません。立ち会いは、その温度差を埋めるための場であり、刷り出しの点検そのものとは目的が少し異なります。現場での調整には限界があるため、範囲を超えた直しが必要なときは、データそのものを直したほうが早いこともあります。
関連語
参考
日本印刷産業連合会 印刷用語集「刷り出し」「抜取り」
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