印刷の便利帳。

印刷の現場から、
つくる人のそばへ。

トンボ

とんぼ
記事内には商品紹介を含むリンクがあります。ご購入により当サイトに収益が発生することがあります。
トンボの図解:印刷位置合わせマーク(見当マーク・カラーバー・丁合マーク・トンボ・塗り足しマーク)
Illustration: Nostrix / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

印刷物をどこで切るか、色や表裏をどう重ねるかを示すために、絵柄の外側に付ける目印のこと。切り落とされるので、仕上がりには残りません。

目次

現場ではこう使う

「トンボ入っていますか?」——印刷会社やデザイナーどうしのやりとりでは、実際にこう聞きます。一般のお客さんには「仕上がり位置を示すトンボは入っていますか」のように補って伝えます。

トンボがないデータでも、仕上がりサイズが明確で塗り足しが取れていれば、こちらで付けられます。PDFであれば、ページサイズと仕上がりの範囲(TrimBox)が正しく設定されていれば、トンボ自体がなくても処理できることがあります。重要なのはトンボの有無より、仕上がりサイズと塗り足しが正しく設定されていることです。 塗り足しが足りないデータは、トンボだけ付けても救えません。

よくある行き違いがもう1つあります。トンボはあるのに塗り足しがない、というデータです。背景色が仕上がり線までしか伸びていないと、断裁が数ミリずれただけで紙の端に白いすじが出ます。また、Illustratorで昔ながらのトンボを付けていても、アートボードのサイズが仕上がり寸法と合っていないこともあります。トンボそのものより、仕上がりサイズと塗り足しが正しいかどうかを見ています。

もう少し詳しく

結論から言うと、トンボは必要です。

印刷物は、仕上がりサイズより大きい紙に刷ります。あとから切って仕上げるからです。だから紙の上に「ここで切る」という目印が要ります。それがトンボです。絵柄の外側に置くので、切ったあとの完成品には残りません。

トンボは、規格上も位置を決めるための指標として定義されています。使いどころは1つではありません。多色印刷の見当合わせ。表裏の見当合わせ。ページの位置。折り。断裁。そして後加工の位置決め。

種類は3つ覚えれば足ります。

角トンボは紙の四隅につきます。二重の線になっていて、内側の線(内トンボ)が仕上がり位置、外側の線(外トンボ)はその3mmほど外側。この間が塗り足しの領域です。

センタートンボは天地・左右の中央につく十字。仕上がり寸法の中心を示します。0.1mm程度の細い罫線で作るのが一般的とされます。

折りトンボは折る位置を示します。

なぜ角トンボは二重なのか

断裁は必ずわずかにずれます。何百枚も重ねて一度に切るからです。

内トンボちょうどで色が終わっていると、ずれた側に白いすじが出ます。外トンボまで絵柄を伸ばしておけば、どちらにずれても紙のはしまで色がのった状態で仕上がります。

トンボは必ず必要か

必要です。 とくに次の場合は欠かせません。

フルカラー印刷。 4色を重ねて刷ります。トンボがないと、そもそも版がずれているかどうかが分かりません。

抜き・箔押し・エンボスなどの後加工があるとき。 刷った絵柄に位置を合わせて加工します。基準がないと合わせようがありません。後加工があるなら、トンボは本当に必要です。

表と裏があるもの。 表裏の見当を合わせる基準として、必然的に要ります。

塗り足しがあるとき。 塗り足しは仕上がり線の外側に絵柄を伸ばしておくことなので、その仕上がり線を示すトンボとセットで意味を持ちます。

仕事の多くは、フルカラーか、両面か、後加工があります。だから迷ったらつける。基本的にトンボは必要だと思ったほうがいい——これが現場の答えです。

例外はあるか

あります。ただし限られた場合です。

単色で、片面で、切る工程がないとき。先に化粧断ちした紙に刷る場合は、そもそもトンボを設けません。 昔ながらの印刷会社や単色機では、トンボを入れずに刷ることもあります。そのぶん化粧断ちが大変になりますが、そこは経験で補われてきました。

近年の Adobe 製品にはアートボードの機能があるので、絵柄の範囲と仕上がり位置を判別する手がかりにはなります。

トンボの目的は、絵柄がどこにあるか、仕上がり寸法がどこかを伝えることです。 それが伝わるなら手段は問いません。ただし、伝わらないほうが多いので、原則は「つける」です。

由来・雑学

形が昆虫のトンボに似ていることから、この名前になりました。

どの形が似ているのかは、規格が答えを出しています。 名称の由来としては、十字トンボの形が挙げられています。四隅の角トンボではなく、中央につく十字のほうです。

英語では register mark、trim mark、crop mark と複数の言い方があります。日本語の「トンボ」ほど1語にまとまっていません。

トンボの種類(角トンボ・センタートンボ)と、IllustratorやPDFでの付け方は「印刷のトンボって何?」で詳しく書いています。

関連語

塗り足し/断裁/面付け/化粧断ち/箔押し

参考

JIS Z 8125:2004(印刷用語-デジタル印刷)/JIS Z 8123-2:2013(印刷技術用語-第2部:プリプレス用語)

この記事は役に立ちましたか?

更新 2026年10月12日

YouTubeで開く
目次