バリアブル印刷とは、文字・数字・画像などの内容を、一枚ごと、一部ごとに変更して印刷する技術である。共通のデザインに宛名や会員番号を差し込む印刷から、受け取る人に合わせて写真や掲載商品を変更する印刷まで、幅広く使われている。
もう少し詳しく
「バリアブル」は「可変の」という意味。同じ内容を繰り返し印刷する場合と異なり、データに応じて印刷内容が変わることが特徴である。DMの宛名、チケットの通し番号、個別のバーコードなども、その代表的な用途に含まれる。
バリアブル印刷の仕組み
基本的には、共通部分を配置した「テンプレート」と、差し替える情報をまとめた「データ」を組み合わせる。
例えばイベントの招待状では、背景や開催概要を共通にし、氏名・会員番号・来場用QRコードを受取人ごとに変更する。名簿の一行を一人分の情報として扱い、対応する項目をテンプレートへ流し込むことで、内容の異なる印刷用データを作成する。
差し替える対象は文字だけではない。画像や文章のまとまりを変更したり、条件に応じて掲載する内容を切り替えたりすることもできる。ただし、対応範囲は使用するソフトウェアやシステムによって異なる。Adobe InDesignのデータ結合でも、CSVなどのデータとレイアウトを組み合わせ、文字や画像を差し替えた文書を作成できる。
印刷用データを先にまとめて生成する方法もあれば、専用システムで出力処理と連携させる方法もある。いずれも、情報を選び、配置する工程と、その内容を紙などへ出力する工程が組み合わさっている。
主な用途
代表的な用途は、宛名入りDM、請求書、会員証、名札、賞状、抽選券、シリアル番号入りラベルなどである。顧客ごとに紹介商品が異なるカタログや、個別の申し込みページへ誘導するQRコード付き案内にも活用できる。
書籍では、読者に合わせて名前や登場人物を変更するパーソナライズ絵本が、可変データを活用する商品の一例となる。当サイトを運営する飯塚印刷の「MY STELLA(マイステラ)」では、作品に応じて主人公の名前や見た目、登場する家族などを選べる。こうした商品は、共通の作品に個別の選択内容を反映し、一冊ごとに異なる内容をつくる考え方を理解する例になる。
パーソナライズ印刷・オンデマンド印刷との違い
バリアブル印刷は、主に「印刷内容を変える技術」に着目した呼び方である。一方、パーソナライズ印刷は「特定の人に合わせる目的」に、オンデマンド印刷は「必要に応じて生産すること」に着目している。
例えば、抽選券の通し番号を一枚ずつ変更する場合はバリアブル印刷だが、それだけで受取人の好みに合わせた印刷になるわけではない。また、同じパンフレットを必要なときに50部だけ印刷する場合は、内容を変えなくてもオンデマンド印刷に当たる。
これらの言葉は重なって使われることも多いが、内容の可変性、個別化の目的、生産の仕方という三つの観点を分けると理解しやすい。
制作・検品で注意すること
バリアブル印刷では、代表的な一枚が正しくても、すべての印刷物が正しいとは限らない。短い氏名では収まっていた文字が、長い氏名では枠からはみ出すことがある。画像の指定間違いや、住所と氏名の組み合わせ違いにも注意が必要である。
制作時には、文字数が多いデータ、空欄を含むデータ、特殊な文字を含むデータなどを確認し、差し替え後の状態を検証する。印刷後も、断裁や丁合いで順序が変わることを考慮し、欠落・重複・表裏の不一致・封入先の取り違えを防ぐ管理が求められる。
関連語
データ結合/自動組版/パーソナライズ印刷/オンデマンド印刷/デジタル印刷
参考
富士フイルム/Adobe
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